FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

カタメルロワイヤル第7話「洞窟」




Another view of sophia esteed

「そんな・・・」
仲間との再会に胸を躍らせていた私はその光景に愕然とした。
「ミラージュさん!」
そこにいたのは仲間ではなく
「ネルさん!」
ただの無機質な
「スフレちゃん!」
固く、冷たい
「マリア・・さん・・・」
全てが灰色に覆われた。
かつて仲間だったもの。
仲間だった少女達の石像。
「あ・・ああ・・」
私はマリアさんの石像に触れる。
冷たい。固い。つるつるしていた。
やがて私は自分の後ろの気配に気づいた。
「なに・・これ・・」
そこにいたのは巨大な鶏のような怪物。
その怪物の口が大きく開かれ、勢いよくブレスが噴出された。
「きゃあっ」
私はそのブレスをまともにくらってしまった。
そして変化はすぐに訪れる。
私の体が徐々に灰色に、固く、冷たく変化していくのがわかる。
服もボロボロとはがれていき次第に灰色になった肌が露出していった。
「いやあ・・・」
私は叫んだ。
もう首から下は動かない。
「いやあああああああ・・ああ・・」
やがて石化が私の顔にまで及び
髪が、口が、石へと変わっていく。
最後に目が石化に覆われ。
私の意識はなくなった。

やがてソフィアを石に変えたコカトリスはその場を去っていく。
そしてそこに新しくソフィアの石像が鎮座した。
これで石像は5つ。
5つの石像がただ、そこに残される。 

Another view of sophia esteed END



薄暗い闇の中を私たちは進んでいた。
今、私たちはとある洞窟を進んでいる。
アリスから逃げ延びた私たちは、森エリアからの脱出を図っていた。
そんな時に外部のエリアと繋がっていそうな洞窟をGPSで発見したのだ。
この狭い洞窟ならば万が一アリスが追ってきたとしても、アリスの有利には戦えないだろうということもあり、この洞窟を進むことにしたのだ。
やがて、しばらく洞窟を進むとGPSを確認していたフィーナが言った。
「この先に5人の参加者の反応があるわ。」
「5人もですか!?」
早苗があたふたしながら言った。
GPSを覗きこむと、少し先の開けた場所に5つの赤い信号があった。
5人もこの先に参加者がいるとなるとこれは相当に厄介だ。
最悪この洞窟を戻ることも考えなければいけない。
アリスが潜んでいる森に帰るのはなんとしても避けたいのだが・・・
「でも変なのよ。この5人さっきから微動だにしないの。」
フィーナがGPSを指して言う。
「単に休んでるだけか、それとも・・・」
なにかにやられたか。
「とりあえず遠くから様子を見てみよう。」
そういって私はその5人がいる場所へ向った。



結局後者であったようだった。
今、私たちの目の前には5つの石像があった。
1つ目の石像は長い後ろで束ねられた髪が特徴的な女性だった。
大人の引き締まった肉体をしており、突然襲われたのだろうか、目は大きく見開かれ、口元は優しく閉じられており、ほとんど棒立ちの状態で石像となっていた。
2つ目の石像はその長い髪をたなびかせながら石像となっていた。
救いを求めるように突き出された右腕、大きく開かれた目と口。
まるで何かから逃げ出すような格好で石像となっていた。
3つ目の石像はやや髪の短い女性だった。
ややスレンダーな体系の女性で、苦しみを耐えるように片目を固く閉じ、歯を食いしばりながら石像となっていた。
石像の足元には最後まで抵抗しようとしたのか、彼女の武器であろう短剣が落ちていた。
4つ目の石像はやや幼い少女のものであった。
少女は地面にへたり込み、手をだらんとさげ、絶望の表情をうかべながら石像となっていた。
おそらく恐怖におびえているところを石像にされたのだろう。
そして5つ目。
今、私の目の前にある石像。
年は私と同じぐらいのようだが、やや幼い体系に反してその胸は大きく、全体的なプロポーションもかなりのものだった。
少女は正面から襲われたのだろう。
恐怖と苦しみの表情を浮かべながら石像になっていた。
私はそんな彼女の石像に触れる。
少し長めの髪も、焦点を失った瞳も、大きく開かれた口も、大きな胸も。
全ては灰色に染まり、冷たく固い無機質なものへとなっていた。
私は彼女の胸に触れてみる。
さっきまでは暖かいぬくもりを持った少女だったとはいえ今はただの石だ。
彼女の体温も心臓の鼓動もかすかにも感じ取ることは出来なかった。
「一体誰がこんなことを・・・」
私は不安に襲われた。
この5人を石像にした何者かはこの洞窟に潜んでいるかもしれないのだ。
やがて私の問いにフィーナが答える。
「多分これは参加者の仕業ではなく怪物の仕業ね。道の先に青い信号が見えるわ。」
「それは厄介ね・・・」
この5人を全滅させたのだ。
相当強力な怪物なのだろう。
私たちは通路の先へと進んでみた。
すると遠くのほうに巨大な鶏の怪物、コカトリスが見えた。
おそらくあいつが5人を石像に変えたのだろう。
「やっぱり戦闘は避けれないか・・・」
そう私がつぶやいた時、早苗が言った。
「ならここは私に任せてください。」
早苗は満面の笑みで私の前に立っている。
ちょっと待て、このパターンはどこかで・・・
「私があいつを何とかしてきます。」
早苗の暴走が始まった。
「ちょっと!さすがにあんた一人であのモンスターを倒すのは無理でしょうよ!」
「ええ、さすがにそれは私も無謀だと思うわ。」
2人でとめようとするが
「大丈夫です、ちょっと見ていてください。」
やばい、ここまで一字一句同じだ。
「わたし、あいつを倒したらフィーナさんに膝枕してもらうんです・・・」
「だから死亡フラグを立てていくんじゃなあーーーっ」
言い切る前に早苗はコカトリスに向って走り出した。

「48の必殺技!!」
「ギャオーーーーー!!」
ドスーン

「ただいま戻りました。」
あっけらかんと戻ってきた早苗の後ろのほうでコカトリスが泡を噴いて失神していた。
おかげで楽に先に進めそうだが
「こんなのでいいのかしら・・・」
フィーナは何か後ろめたそうにため息をついた。
「いいんですよ、こんな怪物との戦闘シーンなんて誰も見たくないだろうし、そもそも作者が書くのめんどくさ」
「おいバカそれ以上言うな。」
「すいませんでした(泣)」
まあとにかく、これで先に進めるのだ。
私は通路の隅っこで泡を噴いているコカトリスに向って合掌しながら洞窟の先へと進んだ。



しばらく洞窟を進むと私たちは少し開けた場所に出た。
その部屋の周囲には多数の水晶が埋め込まれていて淡い光を放っており、部屋の中心には水晶の宝箱があった。
「何なのかしらこれ、今まで見たことないような宝箱だけど・・・」
「もしかしたら罠かもしれないわ。ここは慎重に・・・」
「あ、開きました。」
「早苗ーーーーっ!!」
早苗が勝手にあけていた。
「ほら見てください。指輪が入ってましたよ。」
指輪を持ってこちらへかけてくる早苗。
どうやら何事もなかったかと思いきや、急に宝箱が光り始め。
ドンッ
と大きな音を立てて宝箱が爆発した。
それをポカンとした顔で見る早苗。
あのままあそこにいたら早苗はあの爆発に巻き込まれていただろう。
本当に危なかった。
「まあ、大丈夫でしたし・・・結果オーライってことで痛っ!」
結果オーライだが釈然としないのでとりあえず早苗の頭を叩いておいた。
「それで、この指輪は何なのかしら。」
「えっと、説明書によると・・・」
早苗が説明書を読み上げる。
というか説明書とかあるのか、本当にこのゲームはこういうところだけは律儀だと思う。
「これはレアアイテム【キュアリング】だそうです。これをつけて能力を開放すると、一定時間のあいだ石化、凍結などの状態変化に多少の耐性がつくようです。」
「つまり、何発かは敵の攻撃に耐えられるようになるってことね。」
これは結構便利なアイテムだ。
それ以前にアクセサリーとしてもかなりのものだった。
金色のリングに青く澄んだ色に輝く宝石がはめられている。
私はこの指輪を見た後に、フィーナのほうを見た。
「ねえフィーナ、これ試しにつけてみてよ。」
「え、わたしが?」
「なんかこの指輪、フィーナに似合いそうだし。」
そういって私はフィーナに指輪を差し出した。
「ほら、とりあえずはめてみて。」
「ええ、それじゃあ・・・」
少し恥ずかしそうに指輪をはめるフィーナ。
思ったとおり、その青く澄んだ光を放つ指輪はフィーナにとてもよく似合った。
しかし、指輪をはめた瞬間、フィーナに異変が起こった。
急に光がフィーナの周りを包んだのだ。
「きゃあっ、何なの!」
「くそっ、まさか罠!」
だがどうも違うようだ。
その光はフィーナの服と頭だけを覆っていた。
やがてその光が霧散してゆく。
そして光の中から出てきたのは。
「まあ、これは。」
そこには純白のドレスに身を包んだフィーナがいた。
「あ、ちなみにですね。」
早苗がここで再び口を開く。
「この指輪の能力が発動中は装備している人の衣装も変わるそうです。
何でもその人にあった衣装になるようですが・・・
まあフィーナさんの場合完全に作者のしゅ」
「おいバカそれ以上ヤメロ」
「すいませんでした(泣)」
早苗とそんなやり取りをしていると、やがて再びフィーナの体が光に包まれ、元の青いドレスをまとったフィーナに戻っていた。
「少し恥ずかしかったわ・・・」
とちょっと照れくさそうに言うフィーナ。
私は思った。
とりあえずこの指輪はやっぱりフィーナに付けていて貰おう。
だってキレイだったもの。



「ピンポーンパンポーン」
先ほどの場所で休憩していると、いきなり放送が入った。(ちなみにこのとき早苗はちゃっかりフィーナに膝枕をしてもらっていた。)
「さて、皆様金の針は見つけましたでしょうか?
後3分でタイムリミットとなります。」
そうか、もうそんな時間なのか。
私は注意して放送を聴いた。
「それでは皆様、金の針を手にお持ちください。」
私たちは金の針を取り出す。
一人一本ずつ、ちょうど人数分。
「それではこちらをご覧ください。」
するといきなり私たちの前にカプセルが落ちてきた。
「これは・・・!」
見覚えがある。
凛をブロンズ像にしたカプセルだ。
そしてその中には一人の謎の人物がたっていた。
どうやら映像のようだが、この人物もフードを深く被り、仮面は付けていなかったが顔は良く見えなかった。
「それでは皆様、金の針をお手にこのカプセルの中の人に注目してください。」
そういって放送は途切れた。
後はこのカプセルの中の人物が説明してくれるのだろうか。
「さて時間だ。」
やがてカプセルの中の人物が言った。
「皆の者、私の目を見よ!」
そう言った人物のフードの下に金色の目が見えた。
その瞬間
ドクン
と私の鼓動が強くなった。
それと同時に、何かいやな予感が襲ってくるのを感じる。
そして私は気づいた。
私の足がゆっくりと灰色に染まっていくのを。
「なによこれ!」
「うろたえるな。」
カプセルの中の人物は言った。
「金の針を自分に挿せ。大丈夫だ、痛みはない。
そして、それで石化は止まる。」
そう言うとカプセルは消えていった。
やがて残された私たちは自分自身に金の針をつきたてた。
痛みはなかった。
むしろ暖かい何かが私の中を駆け巡った。
そして徐々に灰色に染まった部分が元に戻っていくのが分かる。
どうやら助かったようだ。
「なるほど、これがタイムリミットか・・・」
おそらく参加者全員が今のカプセルの中の人物に石化されかけたのだろう。
そして金の針を持っていたものだけが助かった。
私は安堵のため息をついた。
そのとき
「ピンポンパーンポーン」
再び放送が入った。
「皆さんお疲れ様でした。ただいまの生き残り人数をお知らせします。
ただいまの生き残り人数は・・・」

「54人です。」

金の針を手に入れることが出来なかった人が脱落し、ついに参加者数は6割を切った。
だがこれからが本当の闘いだと私は思った。
すでにゲームが始まってからかなりの時間がたっており、今生き残っている人は、私たちのように仲間を作ったり、アリスのように自分の戦闘スタイルを確立したような手ごわい人ばかりだろう。
そんな相手と私たちは戦わなければならないのだ。
「それでは皆さん、引き続きゲームをお楽しみください。」
そういって放送は切れた。
そして始まるのだろう。
より過酷さを増した、生き残りをかけたゲームが。
「フィーナ、早苗。」
私は二人の名を呼んだ。
二人は何も言わずに私を見つめている。
「行くわよ。次のフィールドへ。」
「ええ。」
「はい。」



私たちは歩き始めた。
そして洞窟の先に光を見る。
進むにつれ、それはだんだんと広がっていき
やがて開けた視界に移るのは
絶対零度。
白銀の世界。




今回の犠牲者

ソフィア・エスティード:石化
マリア・トレイター:石化
ネル・ゼルファー:石化
スフレ・ロセッティ:石化
ミラージュ・コースト:石化



残り54人
スポンサーサイト
[PR]

デリヘルもソープもイメクラも気に入った子がきっと見つかる
超大型リニューアル中の大好評風俗情報サイト!

カタメルロワイヤル第6話「七色人形遣い」





「誰かこっちに来るわね。」
不意にGPSを覗いていたフィーナがそういった。
ティアとバジリスクとの戦いの後、私たちが疲れを癒すために休憩していた時のことだった。
「私たちに気づいている様子はないけれど・・どうしましょうか、ティア?」
「敢えて接触する必要はないと思うけど・・・」
私たちは先ほど3本目の金の針を手に入れ、人数分の金の針がすでにそろっていた。
なので、今はタイムリミットまでひたすらに身を隠すことが大切だと思われた。
だが、
「まあ誰だか確認ぐらいはしてみない?」
もしかしたら近づいてきている人物は私たちの誰かの顔見知りかもしれない。
幸いこちらの位置は気づかれていないのだからこっそりと様子を見ることも出来るだろう。
「そうね、じゃあ少し様子を見に行ってみましょうか。早苗、私たちの気配を消してくれる?」
「はい。お安い御用です。」
フィーナが呼びかけると早苗が武器である筆を取り出した。
――――薄――――
やがて私たちの存在感が薄くなり、それと同時に私たちは目的の人物へと近づいた。
そして私は目にする。
それは思いがけない人物だった。
茶色のセミロングの髪に、白い制服帽子のあの人は・・・
「はやてさん!!」
「その声・・・ティアナ!」
私が所属している時空管理局遺失物管理部機動六課の課長であり、私の直属の上司である高町なのはさんの親友でもある少女。
八神はやて。
私は、この世界であった始めての知り合いに涙が出そうになった。



「そうか、ティアナはしっかりやってるんやなあ。」
はやてさんがうれしそうに言った。
はやてさんと再会した私たちは木陰に座りながらはやてさんと談笑していた。
はやてさんはあっという間にフィーナや早苗と打ち解けてしまい、今はお互いのことをいろいろと話しているところだった。
「いやぁ、王女様に巫女さんとはティアナも面白い仲間をもったなぁ。」
「はやてさんは?今まで一人でここまで来たんですか?」
「そうなんよ。わたしは最後に校舎を出たからなあ。あんまり人とは遭遇しなかったなあ。アイテムもたいした物は持ってへんよ。金の針は運よく見つけたけどな。」
そういって差し出された手の上には確かに金の針が置かれていた。
「そうなんですか。
あの・・・もしよろしければ私たちと行動しませんか?」
「わたしが?」
自分を指差して言うはやてさん。
「はい」
と私は力強くうなずいた。
はやてさんが仲間になってくれればとても心強い。
「そうか。じゃあよろしゅうたのむわ。ティアナ隊長。」
そう言ってはやてさんは笑顔で答えてくれた。
「ハイ、よろしくおねが・・・」
あれ?今なんか違和感があったような・・・
「ん?私なんか変なこと言ったか?」
不思議そうに訪ねてくるはやてさん。
「あの・・・はやてさん。最後になんていってました?」
「ティアナおっぱいもませ――――」
「絶対そんなことは言ってません。」
「冗談や冗談。ティアナ隊長、やろ?」
「えっと・・・はやてさんが私たちの指揮を取ってくれるのでは?」
私は当たり前のようにそう思っていた。
はやてさんはSS級魔道士であり、今まで起動六課の指揮を取っていた人物だ。
そんなはやてさんが仲間になるのだから当然リーダーははやてさんになると思っていたのだが。
そんな私の考えとは裏腹にはやてさんは言った。
「なにをゆうとるんや。ティアナがあんた達のリーダーやろ。
私はあんた達についていくだけや。ならリーダーはティアナにきまっとるやろ。」
なあ。とフィーナと早苗のほうをむくはやてさん。
「ええ、ティアのおかげで私たちは今まで生き延びれたようなものだわ。」
「ティアさんは頼りになる人です。」
フィーナと早苗までそんなことを言っていた。
「ほら、二人もこういっとるし。
それにな、ただでさえ私は単独戦闘苦手やし、能力も封じられててはっきり言って今の私の戦闘能力はティアナに比べてずっと低いんよ。
だからそういう意味でもあんたの方が適任なんよ。」
はやてさんはポンと私の肩に手を置いた言った。
「そういうわけでよろしゅうなあ。ティア隊長。」
せめて普通の呼び方でお願いします。



その後、私たちは森の中を進み始めた。
全員金の針を持っているので、とにかく身を隠せそうな場所を探そうと思ったのだ。
もちろん移動中もGPSの画面を見て他の参加者と遭遇しないように注意しながら進んでいた。
はずなのだが
「・・・・」
はやてさんが急に立ち止まった。
「はやてさん?」
私は不思議そうにはやてさんをみた。
するとはやてさんはまじめな顔でこちらを見やり言う。
「ティアナ、分かるか?」
「・・・・・」
私は意識を集中した。
少し先のほう、とある木の上、かすかに聞こえる機械的な音。
「敵!?」
「あたりや!」
ガン!
とハヤテさんの手に握られた拳銃が発砲した。
そしてガサガサと音を立てながらハヤテさんが撃った木から何かの残骸が落ちてきた。
「あれは何かしら?」
「手作りのトラップの類じゃないかしら。GPSには何も表示されていないわ。」
フィーナがGPSを覗き込みながら言った。
「いや、トラップなんて甘いもんやなさそうや・・・」
ガサガサと私たちの周りの茂みが一声に揺れ始めた。
「囲まれた!?」
「そのようね・・・」
「あわわ、どうしましょうか!?」
「くるで!」
そして、人形達が飛び出してきた。
人形とは言っても武器に木や石などを使って手足をつけただけの簡単なものだったが、それらは身軽に飛び跳ねながら私たちを襲ってきた。



「おーおーやってるやってる。」
ティアナたちから少し離れた場所。
そこで魔理沙はティアナたちが人形に襲われている光景を見ていた。
アリスの操る人形がティアナたちを銃撃するが、ティアナたちはそれをかわし、的確に反撃を人形達に反撃を食らわせていた。
「おっと、あいつら強いぜ、アリス。」
少しずつではあるが確実に一体、また一体と破壊されていく人形達を見て魔理沙は言った。
「心配することはないわ。まだまだ人形達はあるもの。」
アリスは人形を動かしながら言う。
「あいつらに私の位置は分からないわ。持久戦で勝負すれば間違いなくこちらが勝てる。」
アリスはそう確信していた。



「ティア!GPSに信号が映ったわ!」
人形達の相手をしながら、フィーナが突然叫んだ。
「一瞬だけど、画面の隅に映ったわ、あっちの方角よ。」
フィーナがひとつの方角を指差した。
「あっちにこいつらを操っている黒幕がいるのね。」
「たぶんそうやろうな。」
「なら。」
私は全員に指揮する。
「駆け抜けるわ!」



「おいアリス!あいつらこっちに向ってきてないか?」
「分かっているわ」
どうして自分の居場所がばれたのか?と言う疑問が浮かんだが、今は無視した。
敵がこっちに近づいてきているのは事実。
ならばそれなりの対策を立てねば。
「ん?」
アリスが考えている間に、魔理沙はとあることに気づく。
「あいつは・・・」
それは見知った顔だった。
しばらく前に幻想郷にやってきた、山の上の神社の巫女。
「アリス」
「なに?魔理沙?」
魔理沙はにやりとしながらいう。
「顔見知りだ。ちょっくら挨拶に行かないか?」



「敵が近づいてくるわ!」
敵のほうに向って駆け出してすぐ。
今度は敵のほうからやってくるようだった。
「どうやら二人のようね。」
そしてその二人はすぐに現れた。
長い金色の髪に、白と黒をベースとした魔女服を身にまとった少女。
金色の短い髪に紅いカチューシャ、青をベースとした魔女服に身を包んだ少女が遠くに立っているのが分かる。
そしてそんな二人を見て真っ先に反応したのは早苗だった。
「魔理沙さん!アリスさん!」
「よっ!早苗。」
「ひさしぶりね」
二人はどうやら早苗の知り合いらしい。
「早苗、あの二人は?」
私は早苗に聞く。
「私と同じ世界の出身です。
白黒の魔法使い霧雨魔理沙、七色の人形遣いアリス・マーガトロイド、二人とも魔法使いです。」
「魔法使い・・か・・・」
私やはやてさんと似たような感じだろうか。
「おそらく人形を操っているのはアリスさんです。でも・・・」
早苗はアリスへと視線を向け
「どうしてアリスさんは能力をつかえているんですか!?
ここでは元の能力は一切封じられているはずです。」
アリスは微笑した。
「ねえ早苗、私の能力を言ってみなさい?」
「えっと・・・【魔法を使う程度の能力】ですよね?」
「そのとおり、そして私はその能力は今はつかえない。」
アリスは手をかすかに動かした。
すると私たちの目の前に人形が歩いてきて突然踊りだした。
「この程度の人形を操作するのに魔法の力なんか要らないわ。
糸と人形があれば十分。
ミリ単位の微細な操作だけれど慣れれば簡単よ。
私は普通よりも器用だから。」
そういってアリスは両腕を振るった。
それと同時に茂みという茂みから人形が表れた。
「何よ・・この数!?」
さっきの比ではない。
ざっと見て2,30体ほどはいるだろうか。
「さて、悪いけどあなたたちはここでリタイアしてもらうわ。」
冷たい目でアリスは私たちを見ていた。
「ああでも早苗、同郷のよしみだ。お前は逃げていいぜ。」
そう魔理沙が言った。
「そんなこと出来ません。私だけだなんて!」
早苗はそう魔理沙に言い放つ。
「せっかくの人の心遣いを・・・
しかたねえ、全員でやられちまえ。今までの10人みたいにな。」
「10人!」
それだけの数をこいつらは倒したというのか。
「まあ最後の二人にはやられるかと思ったけどね。そうね、ちょうどあなたたちに似たような格好をした二人組みだったかしら。」
アリスは私とはやてさんを指して言った。
「それって・・・」
「まさか・・・」
「確か、なのはとフェイトって名前だったかしら?」


「嘘だッ!!!」


チチチ
遠くでカラスが一斉に飛び立つ音がした・・・様な気がした。



あれ?なんか今一瞬他の人格に変わったような気が・・・
フィーナやはやてさんがこっちを見て固まってるし、早苗なんか隅っこで頭抱えて震えてるし・・・
とにかく気を取り直して
「嘘よ、あの二人があんた達なんかに・・・」
「そう・・・じゃあこれでどうかしら?」
人形達が何かを運んでくる。
それは確かに見たことがある姿。
だが、決して人とはいえない色をしていて・・・
ドスンとそれはアリスと魔理沙の横に置かれた。
「そんな・・・・」
「嘘やろ・・・」
それは間違いなく起動六課の隊長たち、2人のエース。
なのはさんとフェイトさんの石像だった。
「この二人に人形をだいぶ壊されてね、今あんまり手元に残ってないのよ。」
アリスがそんなことを言っているが私の耳には届いていなかった。
(こいつらが・・・)
私の中に目覚めたのはひとつの感情。
(よくもなのはさんとフェイトさんを・・・)
それは怒り。
その感情のなすがままに私はアリスたちの下へ駆け出そうとして、
トスッ
不意に私の頚部に手とうが叩き込まれ、私の意識は落ちて言った。



ティアナに手とうを叩き込んだのは、はやてだった。
(やっぱりまだまだ子供や)
今のティアナは冷静な考えが出来ない状態だった。
このまま闇雲に突っ込んでやられるのがオチだっただろう。
はやては気絶したティアナを抱きかかえるとフィーナを呼んだ。
「フィーナはん。申し訳ないけどこの子を頼めるか?」
「ええ・・・それはもちろん。でもはやてさん」
何をする気ですか?と問おうとするが、その前にはやての横顔を見たフィーナは悟った。
「おそらくアリスたちにここで勝つのは無理や。
どう考えても相手に有利な地形やしな。
だから、あんたたちは死ぬ気でここから逃げるんよ。
早苗ちゃんの武器の手助けがあれば何とか逃げるくらいは出来るやろ?」
「はい・・・でも、はやてさんは・・・・」
はやてはかすかに笑う。
「フィーナはん、早苗ちゃん、私が隙を作るからそれにあわせて駆けだすんや。
そしてとにかくこのエリアを離れること。
大丈夫、私も後でちゃんと隙を見て逃げるさかい。」
「でも・・・」
「ティアナのこと・・・頼むよ。」
はやてはフィーナの目を見つめ言った。
「はい・・・」
フィーナはうなずいた。
「ほないこうか。やい、そこの人形遣い!」
「あら、観念する気になったかしら?」
「残念やけど、これでしまいや!」
そういってはやてが取り出したのは手榴弾だった。
はやてはそれをアリスへ向って投げるが
ボン
とアリスへ届く前に打ち落とされてしまった。
やがて爆炎が晴れると・・・
「!?」
アリスは気づく、そこにいたのははやてただ一人だった。
よく見ると何体かの人形が破壊されている。
どうやら爆炎でアリスの視界をさえぎっている間に後ろにもうひとつの手榴弾を投げ、包囲網に穴を作ったようだ。
「やってくれるわね・・・」
「あら、まだまだたりひんよ?」
そういってはやては駆け出した。
アリスへと一直線にすすむ。
アリスの人形達はそんなハヤテに一声に襲い掛かった。
「さて、いくで!」
無数の銃声が木霊した。



ハッと目が覚めた。
慌てて飛び起きて周りを見渡した。
どうやら私は木陰に寝かされていたらしく、すぐ近くにフィーナと早苗も座っていた。
「あら、目が覚めたのねティア。」
「大丈夫でしたか、ティアさん。」
「フィーナ、早苗・・・私は・・・」
そういいかけてすぐに思い出した。
確か私たちはアリスと魔理沙に襲われて・・・
「っ!はやてさんは!?」
そうだ!はやてさんの姿が見えない。
それにアリスたちはどうしたのか?
私はフィーナと早苗をみるが、二人の表情は暗かった。
やがてフィーナがうつむき加減で言った。
「はやてさんは・・・私たちを逃がすために囮に・・・」
「そんな・・・」
もしかして私があそこで冷静さを欠いたせいだろうか。
あのままむやみに突っ込んでいたら間違いなく私はやられていただろう。
そんな私を助けるためにはやてさんは・・・
「いいえ、ティアのせいではないわ。あの状況ではこれが最善の策だったもの。
実際私たちは生き延びれている。」
「そうです。それにはやてさんだってうまく逃げ切れているかもしれません。」
「そうだけど・・・」
私は自責の念を捨てきれない。
「ティア、自分を責めるなとは言わないわ。それであなたが少しでも楽になるのなら。
でもあなたは優秀なはやてさんの部下だったんでしょう?なら彼女の言うことは聞けるわよね。」
「はやてさんの・・・?」
フィーナが私の目を見つめていった。
「森を抜けるわ。そして、そこではやてさんを待つのよ。」
「はやてさんはこのエリアではアリスさんには勝てないと言っていました。ならこのエリアにとどまりのは危険だと思います。はやてさんだってきっとうまく脱出しているはずです。」
早苗も私の手をつかんで言う。
「さあティア。」
「ティアさん。」
二人が私に語りかける。
私は二人に言った。
「行きましょう。フィーナ、早苗。」
そういって私は立ち上がる。
はやてさんのことを信じて。
(必ずまた会いましょう。ハヤテさん。)



「やるわね、あなた。」
「いやあ、私もここまでやれるとは思わなんだなあ。」
無数の人形の残骸に囲まれて、はやてが立っていた。
そしてそのはやてからやや離れたところにアリスと魔理沙は立っている。
「でも、これで終わりね。」
「はは、そのようや。」
はやての武器は度重なる人形の猛攻によって機能しなくなっていた。
そんなはやてを数体の人形が取り囲んでいる。
もはやはやてに反撃の手段はない。
「ねえあなた。」
そんなはやてにアリスが問いかける。
「あのまま4人で私に挑めば何人かの犠牲者は出ただろうけど私たちを倒せたんじゃない?
どうしてあの3人を逃がしたの?」
アリスははやての目をじっと見ていた。
「じゃあ逆に聞くで。
あんたはそっちの嬢ちゃんを失ってでもこのゲームに勝ちたいんか?」
わたしか?と自分を指差す魔理沙。
「何を馬鹿なことを言っているのよ。」
アリスははやてに言い放つ。
「ほーら、あんたもわかっとるやないか。」
はやてはけらけらと笑った。
「なあ譲ちゃん」
やがてはやてが静かにアリスに最後の言葉を語りかけた。
「なによ・・・」
「大事なものは、最後まで手放すんじゃないで。」
「っ!」
アリスの指が動いた。
同時に人形達が舞い。
はやてに向けられて銃口が―――――――



ガァン



今回の被害者:なし



残り71人

カタメルロワイヤル第5話「領域」





Another view of ・・・・・



私の頭は冷静だった。
このわけの分からない世界に飛ばされた時は動揺したりもしたがそれもすぐに収まった。
一刻も早くこの世界に順応すること。
それが生き残るためには重要であると理解できたからだ。
やがてゲームがスタートし、校舎を出発した私はすぐに一人の少女と合流した。
そしてその少女と共に森へ向いまずはそのエリアを隈なく駆け巡った。
宝箱を見つけ次第開き、私の手元にはゲーム開始してからいくばくの時間もたたないうちにたくさんの武器やアイテムが集まった。
そしてもう一つ必要だったものは偶然見つけた一人の参加者から調達することにした。
そのコレット・ブルーネルと名乗った少女を襲い、まずは武器をうばいその後に服も脱がせた。
欲しいものは手に入ったのでこの少女は用済みになった。
自分と相方の少女の生き残る確率を少しでも上げるため、私はコレットにむかい、その時奪ったばかりの武器を振るう。
コレットは悲鳴の後に石像と化した。
両膝を地面につけ、両腕は攻撃から身を守ろうとしたのか顔の前でクロスされていた。
顔は攻撃に恐怖を示した表情で片目をつぶり、かすかな悲鳴を振り絞った口は大きく開かれていた。
そして私はコレットの石像を人目のつかなそうなところへと移動させ、そこでとある作業を開始した。
先ほど手に入れたコレットの服を起用に解き、大量の糸を作りだす。
そしてこの糸と身の回りにあるもの。
石、木、武器、それら全てを使い様々なものを作り上げ、それを自分の近辺のエリアへと配置した。
こうして出来上がったのだ。
私の領域が。



ゲーム開始からいくらも時間がたっていない頃。
ちょうどティアナとフィーナが出会ったぐらいの時間帯。
アロエは森の中をさまよっていた。
赤いツインテールの髪に大きなまるでネコミミのようなリボンをした少女だ。
11歳と言う年齢相応の幼さが残る体型でだが、その体よりも一回り大きな制服を身に着けていた。
「だれか~いませんかぁ~」
アロエは不安そうな声でそう言いながら森の中を進む。
(やっぱり誰かを待っていればよかったかな・・・)
アロエは出発度同時に一目散にこの森へ駆け込んでしまった。
それは、先ほど教室で見た光景。
遠坂凛と呼ばれた少女がブロンズ像へと変えられてしまった光景に恐怖を覚え、とにかくあの校舎から離れたいという気持ちによるものだった。
その結果アロエは一人で森をさまようこととなる。
「うう・・・」
アロエは寂しさと不安に押しつぶされそうだった。
11歳という幼い少女が急に見ず知らずの場所に放りこまれ、しかも危険に晒されているのだ。
アロエはとにかく誰かに会いたかった。
あった人物が味方になってくれるとは限らないがそれでも一人でいるのはいやだった。
ガサリ。
「えっ。」
そんなアロエのすぐ近くの茂みの中で何かが動いた。
「もしかして・・・」
誰かいるの?とアロエは思う。
確かに茂みでは何かが動いているようで、ガサガサと茂みは揺れている。
しかし、その大きさはどう考えても人の大きさではない。
もっと小さな、例えるならばリスなどの小動物が動いているようだった。
アロエはその正体を確かめるために茂みへと近づく。
このときアロエは逃げるべきだった。
この世界に動物なんていない。
いるのは他の参加者と怪物だけなのだ。
だが、人恋しさ支配されていたいたアロエはこの茂みに近づいてしまった。
そして、アロエが確認しようとするより早く、それは動いた。
ガンッ、と木霊する銃声。
急に襲ってきた衝撃に耐えられず、尻餅をついて倒れるアロエ。
突然のことにアロエは困惑していた。
だがすぐに自分が茂みの中にいる何かに撃たれた事、そして自分の体が石になっていくことを感じ取った。
「いや・・・」
アロエの目に大粒の涙が浮かぶ。
しかし石化の進行は止まらない。
やがて石化は胸から全身へと衣服を破壊しながら広がって行く。
「いや・・あ・・・」
やがてのどが固まり、涙のたまった目も灰色に侵され焦点を失った。
アロエは尻餅をついたまま
泣き出す寸前の表情で
完全な、石像となった。



神楽坂明日菜はひたすらに森を進む。
明日菜はツインテールに纏められた髪が特徴的な、活発そうな少女だった。
そんな明日菜の表情には焦りが見られていた。
(なんなのよ!この世界は!)
明日菜は先ほどひとつの光景を見た。
それは二つの石像。
ルイズとみくるの石像だった。
(石化なんて高等魔術がここでは当たり前なんて・・・)
明日菜は石化の恐ろしさを知っている。
実際に友人を石に変えられたこともある。
自分は魔法無効化能力によってその時は事なきを得たがこの世界ではそうは行かないだろう。
(ああもう・・・!)
苛立ちを抑えながら森を進んでいく。
幸い明日菜の武器は剣であった。
普段ハリセンを武器として使っている明日菜にとっては使いやすい武器であった。
何度も闘いに巻き込まれたおかげでそれなりに戦える自信もある。
(やってやろうじゃないの!)
明日菜はこの世界のルールを認めた。
迷いを捨て去ったものは強い。
戦闘においては一瞬の迷いも致命的な隙になってしまうから・・・
そんな明日菜だからこそ反応できたのだろう。
いきなりの銃声が明日菜を襲った。
それは明日菜の胸を的確に狙って放たれており、明日菜は間一髪でそれを剣で防いだ。
明日菜は見た。銃声のした方向、茂みの向こうに深くローブを被った人物が立っていることに。
そして明日菜の行動は早かった。
即座にその人物へと駆け出す。
その間にも無数の銃弾が襲い掛かるがそれを、木を盾にすることで避けたり、剣ではじきながら進んだ。
やがてその人物が明日菜の間合いへと入る。
「もらったわ!」
明日菜の振り下ろした剣は確かににその人物に当たった。
だが、明日菜は奇妙な手ごたえを覚える。
「硬い!?」
やがて明日菜によって切り裂かれたローブが落ちるとそこにあったのは
「石像!?」
立っていたのは人ではなかった。
石像に布をかけることで人に偽装していたのだ。
しかもこの石像は明日菜の顔見知りであった。
「そんな・・のどか・・・。」
宮崎のどか、本屋と言うあだ名の少女であったものがそこには立っていた。
のどかは全裸で、その表情は決して普段のおとなしそうな柔らかなものではなく、絶望に染められて石像となっていた。
「じゃあさっきの銃弾は!?」
明日菜は見た。
自分が切り裂き、地に落ちたローブの中から確かに銃口がこちらを・・・・
ガンッ
一瞬の静寂
そして、カランと言う明日菜の武器が地に落ちた音。
パキッ、パキッと石化した衣服が壊れていく音。
「そん・・な・・」
やがて明日菜の意識は闇へと沈んでゆく。
明日菜の意識の消失と共にその場には一つの石像が出来上がった。
明日菜は、自分が敵だと思い込んだものと同じ存在へと化してしまったのだ。
明日菜の表情は明日菜の目の前ののどかと同じく絶望に打ちひしがれていた。
ガサガサと何かが去っていく音がして、その場には二つの石像が残される。
今回は魔法無効化能力は明日菜には働かなかった。



ミュリア・ティオニセスとベルフラウは何者かと交戦していた。
ちなみに、ミュリアは桃色の長い髪にとがった耳が特徴的な、その大きな胸を強調するような露出の多い衣装に身を包んだいわゆる大人の女性。
ベルフラウは輝く金色の髪に真っ赤なベレー帽を被った、まだ幼さの残る少女だ。
この二人はミュリアが一人で森をさまよっていたベルフラウに声をかけ、共に行動するようになっていた。
そんな二人が戦っている相手は未だに正体を見せず、うまい具合に茂みから茂みへと移動している。
そして、無数の銃弾をミュリアたちに放っていた。
「まずいわね・・・」
ミュリアはひとりごちる。
先ほどから相手の姿もつかめないまま、かなりの時間が経過していた。
自分はともかくベルフラウには明らかな疲労の色が見えていた。
(こうなったら)
少し無理をしてでも早々に相手を倒さなければならない。
そう思ったミュリアは茂みに向って杖を構えた。
ミュリアの武器は杖だった。しかし、これはティアのように魔法弾を発射するようなものではなく、単純に相手を殴るためのものであった。
普段は紋章術の使い手であるミュリアにとっては使い勝手の良い武器とはいえないが、それでも今はやるしかない。
「ベルフラウ、ありったけの弾丸を撃ち込みなさい!」
「はい!」
ミュリアの支持にこたえ、ベルフラウは銃を茂みに向け的確に相手の位置へ銃弾を送り出す。
相手は起用にもそれを茂みの中でかわすが反撃する余裕はなくなったようだ。
その隙にミュリアは一気に茂みへと駆け寄る。
そして大きく杖を振りかざした。
(当たった!)
ミュリアに確かな手ごたえがあった。
やがて茂みの中から相手が飛び出した。
ミュリアとベルフラウはそれを見て驚きの表情を浮かべる。
「これは・・・!?」
飛び出してきたのは一丁の拳銃だった。
ただしそれには改造と言うにはあまりに陳腐だが、手が加えられており木の枝や、小石、布などで簡単な手足が作られていた。
やがて先ほどミュリアの一撃に耐えられなかったのか、それはばらばらに壊れ、元の拳銃とその他の材料が地面に転がった。
「なんなの・・これ・・・」
ミュリア自身の思い浮かべた疑問を解決すべく、その残骸へと近づく。
しかし彼女の疑問が解決されることはなかった。
シュン
「えっ?」
突然一本のナイフがミュリアの背後から音もなく飛んできて、背中に突き刺さった。
「な・・に・・・」
ミュリアは背後を見やる。
そこには先ほどと見たものと見たような容姿をした、木や、石などそこら中にあるようなものだけで作られた貧相な人形だった。
どうやら今まで身を潜めていたらしい。
その右手からは細い糸が伸びており、その先は自分の背中に刺さっているナイフに繋がっているようだった。
やがて、ズッとナイフが引き抜かれた。
「あ・・・」
痛みはない。だが先ほどから全く体が動かなかった。
「ミュリアさん!!」
ベルフラウが悲痛な叫び声をあげている。
「あ・・ああ・・」
だがミュリアはそれに答えることは出来なかった。
ナイフの突き刺さった場所から体が硬く、灰色に変化していく。
大きく柔らかな乳も、艶やかな唇も全てが固く、冷たく変化してゆく。
元々露出の多かった肌も、石化により衣服が砕け散った結果全てがあらわにされていた。
(ベルフラウ・・・あなただけでも・・・)
逃げなさい・・・
そんな思いを最後に浮かべ。
ミュリアは全裸の石像になった。
ベルフラウはそんな振り返りかけのまま石像になったミュリアの石像に駆け寄ってしまう。
ミュリアのベルフラウだけでも助かって欲しいという願いは叶えられることはなかった。
そもそも親しい人が突然失われたとき大抵の人はその場に呆然と立ち尽くすか、駆け寄ってその人の名前を呼ぶか、いずれかの行動をとってしまうものだ。
ベルフラウは後者であっただけ幼いながらも強い子だったといえるかもしれない。
だが、行動自体はただの無謀な行動であった。
ミュリアに駆け寄り彼女の名前を呼び続けるベルフラウに容赦なくナイフが突き刺さる。
「ミュリ・・ア・・さ・・」
やがてベルフラウの小さな体は灰色に包まれていき、
完全な石像になってしまった。
ベルフラウは裸で、振り返りかけで石像になってしまったミュリアの像にすがりつくように固まっていた。
最後までミュリアの名を呼ぼうとしたのだろう、その目と口は大きく開かれていた。
やがてナイフを装備した人形は拳銃拾い上げその場を去っていった。
残されたのは2つの石像。
ある意味ではミュリアは幸せだったのかもしれない。
石像と化した後でさえ、寄り添ってくれるものがあるのだから・・・
石像になって寄り添う二人の姿は、まるで親子のようにも見えた。



「これもハズレ・・・か・・・」
白皇学院生徒会長、桂ヒナギクは空になっていた宝箱を開けながらそうつぶやいた。
ヒナギクが探しているのは金の針である。
とは言ってもそれは自分のものではない。
ヒナギクには仲間がいた。
ティア・グランツ、ティファニア・ウエストウッドという名の二人の少女で、つい先ほど仲間になったばかりではあるが、彼女達の結束は強かった。
今、ヒナギクが探しているのはティファニアの分の金の針である。
ヒナギクとティアは自分の分は確保していたが、ティファニアはアイテムの回収に乗り遅れ、また、他人との接触も避けてきたために金の針を手に入れられていなかったのだ。
そして今、戦闘に自信のあったヒナギクとティアがそれぞれ金の針の捜索へと向い、ティファニアはヒナギク達の手に入れた貴重な荷物を持って隠れているのだった。
ヒナギクの金の針の捜索ははかどってはいなかった。
周辺の宝箱を探そうとするも、見つけた宝箱はすべて中身が空だった。
「一旦戻ろうかしら・・・」
ヒナギクには少しいやな予感が浮かんでいた。
宝箱が空だということは確実に、宝箱の中身を取った人物がいる。
下手をすると今、自分のすぐ近くに。
そして、その予感は半分当たっていた。
茂みの中で光る矢がヒナギクの背後を狙う。
ヒナギクの近くに宝箱の中身を取った人物はいなかった。
だが、敵はいた。
シュンと音もなく矢が発射された。
それはすさまじい速度でヒナギクの背後へとせまる。
だが、
カキィン
ヒナギクは恐るべき反応速度でそれを弾いた。
ヒナギクの手に握られているのは長剣だった。
元々生徒会長でありながら剣道部でも随一の実力を持つ彼女にとってこれ以上ないほど相性の良い武器だった。
ヒナギクのよって弾かれて矢は宙を舞う。
ヒナギクはその矢をつかむと
「ソレッ!」
矢が発射されて位置へと即座に投擲した。
ガキン
と鈍い音が響いく。
矢に貫かれた衝撃で茂みから飛び出したのは見るからに陳腐な出来の・・・
「人形!?」
やがてそれは音を立てて崩れながら地面へと落ちてゆく。
だがこれでは終わらない。
ヒナギクは感じた。
すぐ後ろに二つ、右上の木の中に一つ、左にも一つ、他にも・・・・
「チッ!」
ヒナギクは駆け出した。
ヒナギクは相手のことをすぐに理解した。
どうやら相手は小さな人形を複数扱ってくるようだ。
ならばこんな障害物が多く、身を潜める場所が多い森の中で戦っては完全に向こうが有利だ。
ヒナギクはそんな状況から脱するべく、森の少し開けた場所へと移動した。
(ここなら・・・)
草木の茂みからはそれなりの距離があるため、奇襲されることはなくなるだろう。
「さあ、来なさい。」
ヒナギクは剣を構える。
この場所に飛び込んできた敵を迎え撃つために。

「く・・・」
そんなヒナギクの様子に人形の操り主の少女は舌打ちをした。
彼女にはまるで隙がない。
遠くから撃ったところで無意味だろうし、不用意に姿を現せば即座に切り裂かれるだろう。
「仕方ないわね・・・」
少女はつぶやく
「一つ捨てるわ。」

突如一体の人形がヒナギクの目の前の茂みから飛び出した。
人形は銃弾を発射しながらヒナギクへとせまる。
ヒナギクはその銃弾を最小限の動きでよけながら
「ハッ!」
人形へと剣を振るった。
いともたやすく切り裂かれる人形。
ヒナギクの顔には涼しげな表情すら浮かんでいる。
だが、
「!?」
その表情は、すぐに驚愕のものへと変わる。
人形に装備させられていた銃が光だし・・・
ドズン!
突然の爆音。
ヒナギクは、光につつまれた。



ティアと、ヒナギクが帰ってこない。
ティファニア・ウエストウッドは不安に押しつぶされそうだった。
輝くような金髪、ハーフエルフである彼女の特徴の鋭い耳。
全体的にスレンダーな体つきではあるが、胸だけははち切れんばかりの大きさを誇っていた。
そんな彼女がいるのは小さな洞穴の中だ。
そこで彼女はただひたすらにティアに任されたアイテムなどの荷物の番をしながら、ティファニアの分金の針を探しに行ったティアとヒナギクの帰りを待っている。
二人とも人と接するのが苦手な私に本当によくしてくれた。
どじばっかりで足を引っ張っていた私に優しい手を差し伸べてくれた。
私は二人に本当に感謝している。
だからこそ、いくら帰りが遅いからといって二人に頼まれた荷物番の任を放棄して外に二人を探しに行くわけには行かない。
あの二人は強いのだ、ちょっとやそっとのことでどうにかなる様な二人ではない。
そう自分に言い聞かせ、ティファニアはひたすらに待ち続けていた。
だが、ティファニアはあることに気がついてしまう。
それはティファニアが持っていたアイテム。
プレイヤーサーチに表示されていた。
このアイテムはどれだけ距離が離れていようとも、特定の参加者の詳しい位置とその周辺情報を表示してくれるものである。
ティファニアはこれでティアとヒナギクの位置を調べてみたのだ。
そして気づいてしまった。
この二人の位置が、先ほどから全く移動していないということに。
ティファニアに最悪のビジョンが浮かび、いてもたってもいられずティファニアは洞穴を飛び出した。
ティファニアは、より近くにいるはずのヒナギクのほうへ向った。
森の中を大きな胸を揺らしながら猛スピードで進む。
元々森での暮らしに慣れていたティファニアは、木々の間を巧みに抜けていった。
そして、ティファニアはそれを目のあたりにしてしまう。
森の少し開けた場所、その中心に、
全裸たたずむ、ヒナギクの石像があったのだ。
その顔には普段の冷静沈着な彼女には程遠い驚愕の表情を浮かべており、何か強い衝撃を受けたのか体は少し後ろにのけ反っていた。
「ヒナギクさん!」
ティファニアは我を忘れてヒナギクの元へ全力で駆け寄った。
そしてヒナギクの体に触れる。
頬、目、胸、腰、その全ては固く、冷たくなっていた。
つい先ほどのこと、ティファニアが抱きつくと顔を真っ赤にしながら振りほどき、少し笑いながらティファニアを叱ってくれた少女。
今は抱きついたところで振りほどかれることも、真っ赤になって照れながら叱ってくれることもない。
ただ、石像としてその場にたたずんでいるだけだ。
ティファニアは石像と化したヒナギクを抱きしめながら声を挙げて泣いた。
ひたすらになき続けた。
そんな彼女の周りに人形達が集まりだす。
人形達はティファニアを石にしようと狙いを定めた。
そんな人形達に気づいたティファニアだが、もはや彼女は抵抗をしなかった。
せめて、石像になるなら・・・
仲間達と一緒が良かった。
やがてティエリアに無数の銃弾が叩き込まれた。
「あ・・・」
銃弾の当たった部分からティファニアの衣服が砕けてゆく。
そしてそこから自分の体が無機的なものへと変化してゆく。
ティファニアは、失ってゆくからだの感覚、薄れ行く意識の中で一つのものを見た。
それは人影だった。
よくは見えないが、薄暗い森に差し込んだわずかな光を反射してきらめく金色のきれいな髪が見えた。
彼女が人形の操り主だったのだろうか。
そんなことを考えながら、ティファニアの意識はとぎれ
遠くを見据えたまま、ティファニアは石像と化してしまった。




そして現在――――――

今、私の目の前には2体の石像があった。
私は息を切らしてそれに近づいてゆく。
この2体の石像はつい先ほど私が倒した参加者だ。
一人は茶色い髪に白いリボン。
白いオーバースカートを備えた制服で、胸元には赤いリボンが携えられていた少女。
もう一人は長い金色のツインテールの髪に黒いリボン。
黒いコートのような制服に、白い大き目のマントを羽織った少女。
二人ともとてつもない戦闘能力で、私の人形やトラップもかなりの数が破壊されてしまい、相方の少女の手助けで何とか倒したのだった。
「全く、ひやひやしたぜ。」
私の隣を歩く少女が言った。
「私がいなかったらお前もやばかったかもな。」
本当にそうだ。
わたしは、なんとしても守ろうと思っていた少女の手を結局借りてしまった。
ふがいない。
だがなんにせよこの二人に私は勝ったのだ。
ならばいつまでもこのことを引きずっているわけには行かない。
人形やトラップの修理など、すぐにやらねばならないことはたくさんあるのだ。
私は二つの石像へと歩み寄り、その荷物を拾った。
「高町なのは、フェイト・T・ハラウオン・・・・」
荷物に書かれていた二人の少女の名前を私はつぶやく。
なのはは右手を上に伸ばし、片目をつぶり、大きく口をあけ悲鳴を上げながら石像となっていた。
そしてフェイトは右手を前に伸ばし、なのはに向って最後の力を使って歩み寄ろうとする格好で石像となっている。
こちらも最後になのはの名前を呼ぼうとしたのだろう、その目も口も大きく開かれていた。
私はその二人の裸体に触れる。
先ほどはどんなに手ごわかった相手だろうと、石像になってしまっては二度と動き出すことはない。
「さて、この二人を例の場所へ運ぶわよ。」
私は相方の少女へ言う。
少女はめんどうくさそうな顔をしていた。
「こんな人目のつく場所だと私のトラップとかが警戒されるでしょ。ほら早く。」
少女はしぶしぶ私の言うことに従い石像を運んでくれた。



そして私は私の領域へと戻る。
そこにあるのはたくさんの武器とアイテム。
たくさんのトラップ。
たくさんの人形。
そして、10体の石像。
私は今自分のいる場所の周りに広範囲にわたってトラップや人形を配置した。
そして、何も知らずに私の領域に迷い込んでくる参加者を襲った。
ヒナギクを倒すために、銃を一つ爆発させてしまったり、ヒナギクの荷物を回収しようと近づいた時に猛スピードでその場に現れたティファニアに姿を見られたり、なのはとフェイトの二人にかなりの数の人形を破壊されてしまったり(人形に装備させた武器は無事だった)と危うい場面はあったが、人形やトラップはまだまだ機能しているし、私の領域は未だに揺らぐことはない。
私は人形の修理をしながら陳列する石像たちを眺めた。
コレット・ブルーネル
アロエ
宮崎のどか
神楽坂明日菜
ミュリア・ティオニセス
ベルフラウ
桂ヒナギク
ティファニア・ウエストウッド
高町なのは
フェイト・T・ハラウオン
全て元々は少女だったもの。
今は、ただの物言わぬ石像。
それらが今、私の目の前に並んでいる。
罪悪感はなかった。
こうしなければ自分が・・・いや、
私は隣で退屈そうにしている少女を見る。
(この人だけでも・・・・)
守らなければ。という思いが今の自分の全てだ。
そのためには向ってくるもの全てを排除する。
この石像たちのように。
人形の修理に没頭していると、ふと私はあるものを感じた。
(誰かが私の領域へ入ってきた・・・)
私の隣にいた彼女も私の表情の変化で悟ったようだ。
「忙しくなりそうだな。」
全くだ。
私は侵入者を迎え撃つ準備をしながら言った。
「来るわよ、魔理沙。」
「ああ、いくぜ、アリス。」
私はアリス・マーガトロイド。
七色の人形使い。

Another view of Alice Margatroid END




今回の被害者
コレット・ブルーネル:石化
アロエ:石化
宮崎のどか:石化
神楽坂明日菜:石化
ミュリア・ティオニセス:石化
ベルフラウ:石化
桂ヒナギク:石化
ティファニア・ウエストウッド:石化
高町なのは:石化
フェイト・T・ハラウオン:石化

残り71人

カタメルロワイヤル第4話「怪物」



よく漫画やゲームで空から美少女が降ってくる展開がある。
そのような出会いは扇情的でどこか美しい、出会いとしてはロマンチックな部類であると思う。
まあ現実的には見られることはまずない・・・のだが・・・
「何で私はいきなり空から降ってきた見ず知らずの奴につぶされてい・る・の・か・し・ら・ね(怒)」
現状を見る限り、案外起こりうるようだった。
残念ながら実際には重力と言う巨大な力が働いており、その重力によってもたらされたエネルギーの衝撃は下にいる人に思いっきりかかるわけで・・・
大地にひれ伏し、体半分ほどを地面にめり込ませながら、私のすぐ上、今も背中の上に乗っかっている少女へ恨みがましい視線を投げつける。
少女はさすがにいたたまれなかったのか、少し困った顔で言う。
「えーと・・・ごめんなさい?」
ハテナマークはいらない。



「その・・・東風谷早苗と申します・・・ああ、なんかゴミを見るような目でにらまないで!怖いです!」
木の下に正座させられて、先ほど私の上に落下してきた少女が言った。
「それで、なんだって?」
私は額に青筋を浮かばせながらその少女へ言う。
「えっと・・そのですね・・・よろしければ私を仲間に・・・ってああ、無言で銃を向けないで!」
必死で降参のポーズをとる早苗。
さすがにやりすぎたかなと思い私は銃をしまった。
今回もフィーナのときと同じく敵意がこの少女からは感じられなかったからだ。
こういう敵意を敏感に感じられるようになったのは長年の戦闘経験の賜物であろうか?
「まあまあ、ティアも落ち着いて。
それで早苗さん、別にあなたを仲間にするのはかまわないわ。」
「ほ、本当ですか!」
まあフィーナが言うなら自分も依存はない。
この子も悪い子ではなさそうだし。
「でも、ひとつきになることがあるの。」
そのとおり、私もたった一つ早苗に対しての疑問がある。
「あなた、何か特殊な道具でも持っているんじゃないかしら?」
フィーナは早苗に向けて問いかける。
その理由は私にも分かる。
この早苗という少女は私達の持つ、高性能のマップ表示アイテム、GPSに表示されなかったのだ。
となると、早苗は何かGPSをかいくぐるアイテムを持っているのだろう。
しかし、
「いえ、私は最初に配られた支給品しか持っていませんよ?」
早苗が発したのは予想外の発言だった。
「やっぱ胡散臭いわ。」
無言で再び銃を向ける。
「ちょっと!なんで?なんでですかー!?」
もはや早苗は半泣き状態だった。
「早苗さん、私達は相手の動きを補足するアイテムを持っているのだけど・・・あなたがそれに移らなかったのよ。だからあなたがこのアイテムの能力をかいくぐるようなアイテムを持っているんじゃないかって疑っているわけ。」
フィーナの説明に対し、早苗は少し考えて
「えーっと、もしかしてこれかな?」
あるものを取り出した。
それは筆だった。
「どうもこれが私の武器らしいんですけど・・・ほらこうすると・・」
早苗は自分の手のひらに小さく文字を描いた。
――――薄――――
「!?」
瞬間私とフィーナは息を呑んだ。
早苗の姿が見えなくなったのだ。
いや、注意すればそこにいるのは分かる。
だが、一見では分からないほどに早苗の姿だけでなく、存在感までもが薄くなっているのだ。
「この筆で書いた漢字の効果がその人に表れるんです。今は[薄]と書いたので色々と薄くなっているんですよね。」
やがて、フッと早苗の姿が元に戻る。
「ちなみに持続時間はせいぜい1分くらいです。どうですか?」
柔らかな笑みを浮かべて早苗が言う。
「なるほど、この筆の力で存在感をなくしていたから私達が気づかなかったのね。」
「そういうことじゃないかと思うんですが・・・あなた方の様子を見ていた時も使っていましたし・・・」
どうやらこの子を仲間にすることに問題はなさそうだ。
それどころかこの能力はとても役に立んじゃないかとさえ思う。
私は早苗に右手を差し出して言った。
「まああんたが嘘ついてるとも思えないし・・・いいわ、一緒に行動しましょうか。」
早苗はパッと明るくなって私の手を握った。
「ありがとうございますっ!」
こうして私たちは早苗と行動を共にすることとなった。
しかし、
「そういえば」
フィーナが思い出したように言った。
「あなた、最初の支給品しかもってないって言ってたわよね?
と言うことはもちろん金の針も・・・」
すすっと視線をそらす早苗
「も・・・もってません・・・」
やっぱり、とため息をつくフィーナ。
「じゃあ今からの行動は決まったわね。」
「ええ。」
「え?」
不思議そうにこちらを見る早苗に向って私は言った。
「あんたの分の金の針、取りに行くわよ。」



「どうやらあそこに宝箱があるようね。」
フィーナは茂みの向こうをさしていった。
GPSを見れば確かにそこには黄色の信号がうつっている。
だが、
「何でここにあんなのがいるのよ。」
私は舌打ちをしながらそれを見る。
そこにいたのは巨大なトカゲのような生物、バジリスクだった。
「あれがいわゆるモンスターって奴みたいね。」
GPSには青色の信号が映し出されていた。
「どうしようか、別を探す?」
「そうね・・・でも、目の前にある宝箱を見逃すのもどうかと思うわ。」
すでにあの放送からかなりの時間が経過している。
全ての参加者は金の針を探してエリアをくまなく探しているだろうし、この時点で未だに発見されていない金の針を探すのは困難だと思われた。
それならば多少危険であろうとも目の前に金の針がある可能性があるのだ。
安全のためにそれを見逃すというのも得策とは思えない。
少し考えこんでいると不意に早苗から声が上がった。
「あの・・・今更なんですけどどうして私を見捨てなかったんですか?」
それは意外な言葉だった。
いきなりやってきて、いきなり仲間に加わった早苗からこんな言葉が出るとは。
「私は、あなた達にあった時点で一か八かの気持ちだったんです。
私はどうもこのゲームの流れに乗り遅れたようでろくな武器もアイテムも手に入れれませんでしたし・・・
私のための金の針を探すためにお二人が危険に晒される可能性もあるわけですし。
あの時点で見捨てられて、私も石像にされるかもしれないっていう気持ちはあたったんですよ。」
さらに早苗は続けた。
「だから、私はあの時仲間に入れてもらって、それだけですごくうれしかったんです。
やっと安心できる場所を見つけたみたいで。
だから私はそれだけでもいいんです。無理をしてまで私の金の針を探そうなんて――――
あ痛っ!」
早苗がいいかけたところですかさず私は早苗の脳天にチョップを食らわせた。
そして頭を抱えてうずくまる早苗に向って私は言う。
「まず聞くけど、あなたは役立たずなの?」
「はい?」
「質問に答えなさい。あなたは私達が何かするたびに足を引っ張って妨害して、全て破滅させるようなとことんの役立たずなのかしら?」
「いえ・・さすがに・・・そんなことは・・」
早苗は少し困惑しながら言った。
「ならあなたには自分にできることがあると思っているのでしょう?
それならばあなたは決して役立たずでも足手まといでもないわ。
それともう一つ、あなたのために多少危険でも金の針を探すのは当然のことよ。
だって・・」
私はフィーナのほうへ目を向ける。
フィーナも微笑を浮かべながら
「あなたは私達の仲間なんでしょう?
なら、私達があなたを助けるのは当然。
そしてあなたが私達を助けてくれるのも・・・ね。」
やさしく、そう言い放つのだった。
そんなフィーナの言葉を受けた早苗は目にいっぱいの涙を浮かべている。
「か・・がんどうじまじだ」
もはや呂律が回っていない。
ぐっと目に浮かんだ涙を拭い去ると早苗は言う。
「2人のお心遣いに私は感動しました。
ですがやはり金の針に関してお二人を危険に晒すわけにはいきません!
私が見事一人であの宝箱を回収してきます!」
早苗の暴走が始まった。
「ちょっと!さすがにあんた一人であのモンスターを倒すのは無理でしょうよ!」
「ええ、さすがにそれは私も無謀だと思うわ。」
2人でとめようとするが
「大丈夫です、ちょっと見ていてください。」
というや否や早苗の存在が薄くなっていく。
そういえばこの子はそういう能力の武器を持っているのだった。
そして早苗がバジリスクに向っていく。
「わたし、このゲームが終わったらフルーツ(笑)をたくさん食べるんだ・・・」
行く前に壮大な死亡フラグを立てやがったが。



「目潰し!!」
「ギャオーーーーー!!」
ドスーン



「ただいま戻りました。」
あっけらかんと戻ってきた早苗の後ろのほうでバジリスクが目を押さえて失神していた。
そして早苗の手にはしっかりと宝箱が抱きかかえられている。
「さっきまでの流れは何だったのかしら・・・」
「言わないで、なんか悲しくなるわ・・・」
「常識に捕らわれてはいけないんですよ。私の固めシーンだと思ったそこのあなた。ザンネンッ☆」
早苗はどこかに向けて謎の言葉を発していた。
なぜか、果てしなくウザく感じられた。



ちなみに宝箱の中身はハズレだった。
中に入っていたのは黒い円盤状の物体。
「えっと・・{超強力!怪物だってイチコロ☆地雷型石化爆弾}ですって。
どうやら地雷みたいね。」
「こんな1個あったって大して使い道なさそうだけどね。」
とにかくまた振り出しに戻ってしまった。
「こうなったらやっぱり・・・」
もうひとつの選択肢を考える。
そう、他の参加者から奪う。
「それしか無さそうね。」
フィーナも複雑そうに頷いた。
何しろ私達にとっては自らの意思で参加者を襲うのはこれが最初なのだ。
だが、やらねばならない。
迷っている間にもタイムリミットは迫っているのだ。
ちょうどいいことにGPSにはそう遠くない場所にひとつの紅い信号が表示されていた。
「仕方ないか、いきましょう。フィーナ、早苗。」
「ええ。」
「はい。」
私達は、初めての獲物に向って歩き出した。



「ふーん、あなたたちの金の針を探しているのね。」
私達が標的と定めた少女が言った。
少女は目まで隠れそうなほど長い前髪に、腰まで届きそうな此方もかなり長い後ろ髪。
服装は黒をベースとしたどこかの魔術師を思わせるようだった。
そのほかに特徴を挙げるなら、おっぱいがメロンだったと言っておく。
「それで、私から奪いに来た・・・と言うところかしら。」
少女は笑みすら浮かべていた。
「まあ、そんなところよ。」
まるでかつ上げみたいなセリフだ。
まさか自分がこんなこと言うことになるとは。
だが早苗の金の針を確保するためだ。仕方ないと自分に言い聞かせて話を進める。
「それで、やっぱりもらえないわよね。」
ふふ、と微笑する標的の少女。
「当たり前・・・でしょう。」
突如、彼女の持つ杖から無数の光が放たれた。
すぐに私達は理解した。
これがあいつの武器だ。
光は私達を狙うように弧を描く軌道で襲い掛かってくる。
それらをすんでの所でかわし、敵の少女に向き直ると相変わらず彼女は不敵な笑みを浮かべていた。
「あら、なかなかすばしっこいわね。
でも、この程度ならいくら3人とはいえ私一人で十分ね。」
少女は再び杖を構える。
「ちょうど私も仲間の分の金の針を探していたところなの。
あなたたちの分、ここにおいて言ってくれない?」
やはり戦闘は避けられないようだった。
「私の名はティア・グランツ」
少女の杖に光が宿る。
「さあ、行くわよ。」
その光が一声に放出された。



まず真っ先に私達は森の中、特に木々が乱立しているところに逃げ込んだ。
ここならば遮蔽物が多い分相手の攻撃が阻害されやすいからだ。
それは自分の武器である銃にも言えることだが、私の銃弾は兆弾させることができるため実はそれほど不利には働かないのだ。
そうはいっても相手の武器は強力で、確実に自分達のいるところを狙って突き進んでくる。
「ねえティアさん」
いきなり早苗が私に聞いてきた。
「あっちもティアで混乱するから今回の話だけティアナさんって呼びますよ。」
ああそうしてもらえるとありがたい。
色々なところでややこしくなるだろうから。
ちなみに今私の周りにいるのは早苗だけだ。
フィーナは私達とは別のところにうまく退避したようだ。
なので、とりあえずは私達二人でティア(敵)を何とかしなければいけない。
「ねえティアナさん。」
「何?」
「二人で追われていてもしょうがないですよ。
だからここは私に任せてください。」
早苗は筆を取り出しながら言った。
「あんた何す――」
早苗が文字を描く。
その文字は
――――濃――――
急激に早苗の存在感が膨れ上がった。
今私達を追ってきているティアや他の何よりも早苗が気になってしまう。
「ここは私がひきつけるでガンス」
ふんがーと叫びながら走り去っていく早苗。
なんか存在感にあわせてキャラまで濃くなったようだ。
声も若本○夫見たいになっていたし顔も劇画調になっていたような気もした。
そしてそんな早苗に唖然としていると、気づいたらティアにまで追い抜かされていた。
どうやら向こうももはや早苗しか見えていないようだ。
「ティアナ!!」
はっと私はフィーナの声でわれに返った。
「しまった、早く早苗を追わないと!!」
あの子1人でかなう相手ではない。
私はすぐに早苗を追おうとした。
しかし、
「ティアナ、これを見て。」
フィーナの声がそれを制した。
そしてフィーナの手に握られるGPSを覗くとそこには
「これは・・・!」
最悪だった。
動き続ける二つの紅い信号。その向った先に
青い信号が点灯していたのだ。



「さあ、追い詰めたわよ。」
私、ティア・グランツは息を切らしながら言った。
いつの間に見失ったのかは知らないが後の二人はどこかへいってしまい、目の前にいるのは早苗一人だった。
「さすがに、あなた一人で何かできるとは思っていないでしょう?」
杖を早苗へと向けて言う。
対する早苗は
「あら、追い詰められたのはあなたの方ですよ。
今頃二人はあなたの後ろからあなたを狙うべく動いているはずです。」
それは不覚にもあの2人を見失った時点で十分に承知だった。
だが私は慌てない。
こういった状況を切り抜けるには
「一点突破が望ましい。」
早苗を攻撃し、そのままその方向へと駆け抜ける。
倒せるかどうかは分からないが攻撃されても隙を見せないような強敵には早苗は見えなかった。
包囲を突破すればまた私が優勢に戦える。
そう信じて私は目の前の少女へと力を向ける。
「悪いけど」
杖の先に光が集まり
「こっちにも守ってやらなきゃいけない仲間がいるのよ!」
光が放出される。
それてと共に私は一気に駆け出した。
早苗は紙一重で攻撃をよけたようだ。
だがだいぶ無理によけたせいでバランスをくずしている。
今襲えば楽に石化できるかもしれないが、後ろからすでに2人の気配が近づいてきている。
ここは一旦距離をとるべきだろう。
そう考えながら早苗の横を駆け抜けた。
だが、私はそこで予想外の物を目にする。
「えっ!?」
早苗のやや後方に位置していた茂み。
そこから急に巨大な何かが姿を現したのだ。
そしてその生物のぎらついた目と
目が合ってしまった。

全ては一瞬だった。
体中が硬くなり、自由が奪われた。
やがて体中の色が失われていくのが感じられた。
何が起こっているのかもわからない。
そう考える意識でさえも次第に薄れていった。
私が最後に見たのはぎらぎらとした眼光を放つ、巨大な・・



早苗は全てを間近で見ていた。
自分の横を駆け抜けようとしたティアが急に動きを止めた。
そして瞬時に体全ての色が失われていき、気がついた時にはすでにただの石の像へと成り果てていた。
その姿は驚きただ呆然と立ち尽くしているような姿だった。
目は見開かれており、口はかすかに開かれていた。
そしてこの石像越しに早苗はティアを石像へと変えた正体を見る。
「あれは!」
先ほど早苗が失神させたバジリスクだった。
バジリスクは興奮しているようで早苗にも襲い掛かろうとする。
その瞬間
「早苗っ!」
ガン、ガンッと銃声が響きバジリスクの体が撃たれた。
だがバジリスクの硬いうろこには通用しなかったらしく平然とバジリスクはたたずんでいた。
「全然聞いてない!?」
「そのようね・・」
「ティアナさん!フィーナさん!」
「ごめんね、遅れたわ。」
「いえいえ、来てくれてありがとうございます!」
「二人とも、まずはこの生物をどうにかしないと。」
そういって3人は臨戦態勢を取った。
とりあえず危険なのは目だ。
こいつと目が合って、にらまれたらそこで終わりだ。
やはりここは逃げるか・・・
と思ったとき。早苗が言った。
「ティアナさん、フィーナさん、ほんのちょっとだけ相手の動きを止められますか?」
早苗は真剣な顔で言う。
「そうすれば、私がどうにかします。」
相手は硬いうろこに包まれている。
剣も銃も効きそうにない相手にどうするというのか。
と思ったところで私は思い出す。
そう、この子の武器は特殊なのだ。
「硬かろうと何だろうと、文字がかければ関係ありませんよ。」
そういって早苗の存在が薄れていく。
「よし、行きなさい!早苗!」
「私たちが何とかあいつの足を止めるわ。」
「よろしくお願いします!」
「任せなさい。仲間ってのはね、信じるためのものなんだから!」
私とフィーナは、バジリスクへと向って攻撃を仕掛ける。
もちろん倒すためではない。
この巨体を力で止めるのは無理だろう。ならば、
「撹乱して翻弄する。」
私とフィーナで交互のヒット&ランの攻撃。
相手は少しの間だがどちらを攻撃しようと迷いわずかだが、確かな隙が生まれた。
それで十分だ。
「できました!」
気配を消してバジリスクの背後に忍び込んでいた早苗が声を挙げる。
「さあ、止まりなさい!」
――――石――――
瞬時に変化が起こる。
バジリスクの体が灰色にそまり、あっという間に一体の石像になった。
そして私達は最後の仕上げにかかる。
バジリスクの足元にさっき早苗が見つけた黒い円盤状のアイテムを設置する。
そして1分後、早苗の力の切れたバジリスクは再び動き出し、
その足元に奇妙な感覚を覚える。
瞬間の爆音。
バジリスクの硬いうろこをも貫く強力な石化の力。
今度こそ本当にバジリスクは一体の石像と化し、やがて体中にひびが入り、砂となっていった。



「残念、ないわ。」
ティアの荷物を調べていたフィーナが言った。
どうやらティアも金の針は持っていないようだった。
ちなみに今、ティアの石像は全裸である。
先ほどの爆風で衣服だけ砕け散ってしまったようだ(なんと都合のいい・・・)
お陰でその異様なまでにいいスタイルが目に毒だ。
特にメロン!メロンが!!
「わーおっぱいも硬くなってますー。」
と無邪気に石像となったティアの肢体(とメロン!)をなでる早苗もホントいい加減にしてほしい。
興味があるのは分かるけど!
「でもこれで無駄骨だったか・・・」
「まだ時間があるから大丈夫よ」
「そうね・・・
それにしても早苗、あなたよく一人でティアから逃げ切ったわね。」
早苗は相変わらずティアの石像をまさぐっている。いいかげんにしなさい。
「う~ん、多分それはこれのお陰かと・・・」
そう言って早苗が描いた文字は
――――幸――――
「これ書いとけばなんかラッキーなこと起こるかなと思ったんですけど・・・
きっとこれのお陰で助かったんじゃないですかね。」
これには私もフィーナも唖然としてしまった。
私は思った。
この子は想像以上にすごい子なのかもしれないと。
そして、
「あっ!」
早苗が何かを見つける。
ちょうどバジリスクの残骸のところだった。
早苗が駆け寄り手にしたものは
「宝箱です。」
もう私は何も言わなかった。
フィーナも分かっているだろう。
この先の幸福な展開。
「ああ!金の針です!やりました!!」
全く本当に。
この子はとんだ拾いものだ。



この後、ゲーム始まって以来の2回目の放送が入る。
「ピンポンパンポ-ン
さてさて皆様、だいぶお動きになられてようですね。
それでは現在の生き残り人数をお知らせします。」


「現在の生き残り人数は・・・」


「71人です。」


現在の失格者は29人
このうちティアナたちが把握しているのは6人
ティアナたちは知らない。
この29人の内10人は
たった一人の手によってやられていたということを。
そしてその一人は
この、森エリアへ潜んでいる。



今回の犠牲者
ティア:石化

残り71人

カタメルロワイヤル第3話「共闘」





「ほら足元気をつけて、フィーナ。」
そういって私はフィーナに手を差し出す。
「あら、ティアは優しいのね。」
といいながら私の手をとって大きな木の根を踏み越えるフィーナ。
今、私はフィーナと一緒に森のエリアを移動中だ。
なぜこんな展開になっているかと言うと・・・


――――――1時間ほど前――――――
「ふーん、月の王女・・・ね・・・」
私は突如現れた月の王女、フィーナ・ファム・アーシュライトに向き合っていた。
「それで、あなたも私と戦いに来たってこと?」
そう尋ねるがフィーナは首を横に振って
「いいえ、そんなことをしに来たのではないわ。
 むしろ、お誘い・・かしら・・・。」
「お誘い?」
私は怪訝な顔をしながらフィーナに問いかけた。
「ええ、ねえあなた。私と組む気はないかしら?」
本当に突然の誘いだった。
ちょうど自分もそんなことを考えていたために、都合が良すぎるのではないかと思えるほどに。
「私は戦闘経験がないから・・・誰かそういったものがありそうな人と組めたらいいなと思っていたの。」
確かに外見的に戦ったことが有りそうには見えない。
私は彼女の言葉を疑う気にはなれなかった。
それは彼女の意思に殺気どころか微塵の敵意も感じられなかったからだろう。
ついつい接近を許してしまったのもこれが原因ではないかと思う(いいわけ)。
「私はかまわないけど・・・あなたは?」
「どういうことかしら?」
ちょこんと首をかしげながらフィーナが聞いてきた。
「ほら、そこの石像。」
私は石像と化したルイズとみくるを指して言う。
「分かっていると思うけど、これは元々私達と同じ参加者だった人たちよ。
 これを私がやったとは思わないの?」
事実、正当防衛とはいえ一人を石にしたのは自分だ。
「もしかしたら私があなたを見つけてすぐに攻撃してくるとは思わなかったの?
 実際さっき銃を向けちゃったし。」
すると、フィーナは微塵も動揺することなく言う。
「あら、見くびらないで欲しいわね。私はこれでも月の王女よ。
 人を見る目くらいはあります。
だからあなたが信頼できそうな人だというのは良く分かるわ。」
その言葉は自信に満ち溢れていた。
「一体その自身はどこから来るなかしらね・・・」
少しあきれながらも私はどこか安堵しているようだった。
それは私もこの少女は敵ではないということが確信に近い形で感じられたからだろう。
「それで、どうかしら?」
改めてフィーナは聞いてきた。
私は
「まあいいわ。人数が多いほうが安心できるしね。」
彼女の提案に乗ることになった。
「それじゃあよろしくお願いするわ。私のことはフィーナと呼んでくれていいわ。」
「フィーナ姫じゃなくていいの?」
「そういう他人行儀なのは嫌いよ。えっとあなたは・・・?」
そういえば名乗っていなかった。
「ティアナ・ランスターよ。よろしく。」
そういって私は右手を差し出した。
「よろしくお願いするわ、ティア。」
フィーナはその手を強く握り返した。



――――そして現在
今私達は森のエリアを移動中だ。
これはフィーナの提案で
「まずはこの森を探索したほうがいいわ。」
「どうして?動き回ればその分敵との遭遇も増えると思うけど?」
「アイテムの存在よ。このエリアのいたるところに私達を助けてくれるアイテムがあるって書いてあったでしょ。まずはこれの回収に向うのがいいと思うわ。」
「なるほどね・・・」
このようなやり取りがあって今に至る。
たしかに、このアイテムの所持の有無で後々不利になる展開は大いに考えられる。
ならばまだ周りもこの世界に順応できていない間に動き出すのは得策だろう。
きらびやかな衣装を身にまとい、悠然と森の中を歩くフィーナを見て私は言う。
「フィーナはしっかりしているのね。」
私の相方とは偉い違いだ。
「王女ですもの、当然よ。」
「最初にあった時は思いっきり尻餅ついていたけどね」
「あれは・・・急に銃を向けられたから!!」
少し顔を赤らめてそっぽを向いてしまった。
やっぱりこういうところは姫といっても普通の女の子なんだなと感じられた。



「ティア!あれ!」
フィーナの叫び声に慌てて振り返る。
「どうしたの?フィーナ!?」
「ティア、アレじゃあないかしら?」
フィーナの指差す向こうには宝箱らしきものが設置されていた。
それに駆け寄り早速あけてみると・・・
「これは・・・」
小型の携帯ゲームに様なものが入っていた。
「これは何かしら?」
「とりあえず電源を入れてみよう。」
スイッチを入れると画面にはどこかの地形が映し出された。
「これは・・・もしかしてこの周辺の詳細な地図じゃないかしら?
 ほら、この2つの点が私達。」
画面を見ると緑色の地形の中に2つの紅い点が表示されている。
「なるほど、どうやらこれは自分達の現在地の周辺を詳しく表示してくれるみたいね。」
「というか・・説明書ついているわよ・・・」
もっと早く言ってくれ。
というか律儀ね、このゲームの主催者。
「ふーん、アイテム名はGPS、どうやら赤=参加者、黄色=アイテム、緑=トラップ、青=モンスターか・・・」
どうやらこれはかなり当たりな部類のアイテムだったらしい。
「これがあれば周りの参加者の動向がなんとなく分かるし、だいぶ楽に動けるようになるわ。」
「そうね、少なくとも寝込みを教われる確率はぐっと減ったわね。」
二人して安堵していた。
そんなとき、いきなり二人の耳にどこからともなく機械的な音声が響き渡った。
「ピンポンパンポーン
 ただいまの生き残り人数94人でーす。」
どうやらあの学校のスピーカーからこの世界全域に向けて発せられているようだ。
「94人・・・」
今までに私が確認したのは凛、みくる、ルイズの3人。
となると別の場所で3人がやられているということとなる。
元が100人だとすると少なすぎるくらいか・・?
そう考える私をよそに放送は続く。
「まだまだ皆さん全然動いてませんね。と言うわけでここで一つMissionを発表します。
 今から48時間以内に金の針を探し出してください。
 金の針はこの世界に60個ほど隠されています。
 それを今から24時間後に所持していない方はその場で失格とさせていただきます。
 見つけた方も24時間後にちゃんと持っていないとダメですよ?
 それではスタートです。」
(ふざけんじゃないわよ!)
今にも叫びだしそうだった。
金の針が60個、今94人残っているのだから3分の2がここで失格と言うことになる。そして、凛やルイズのように・・・
そうなるといやでも金の針の争奪戦が起こる。
そのたびに自分達は危険にさらされるのだ。
せっかく逃げるのにうってつけのアイテムを手に入れたというのに・・・
「ティア!」
フィーナが呼びかけてくる。
そうだ、自分ばかりいらいらしていてはいけない。
フィーナだって自分と同じく怒りたい気持ちでいっぱいにちが――――
「あったわ金の針、2つ」
思いっ切りずっこけた。



「近くに宝箱があったから開けてみたら入っていたわ。」
とはフィーナ談。
この幸運もお姫様の力なのだろうか・・・
とにかくこれでいきなりだが私達は安全になった。が、
「後はこれを守り通す・・・」
そう、これを24時間守り通さねばならない。
「ここはさっきのGPSが役に立ちそうね。」
確かにあれがあれば敵の動きもよくわかる。
早速それを見てみる。
と、
「これは!」
まずは真ん中に2つの紅い点、そして・・・
「北から2つ紅い点がまっすぐこっちに向ってくる!」
それは迷いなくこちらに向っているようだった。
「フィーナ、どうする?」
「そうですね、どうやら相手はこっちの居場所が分かっているようです。
 私達と似たようなアイテムを手に入れてのかは分かりませんが。
 ここで逃げてもいたちごっこでしょう。
 ならば・・・」
「迎え撃つ・・・か・・・」
カチャリと銃を構える。
「あら、まだ分からないわ。話し合いで終わるかもしれないわよ?」
「でも、万が一のために準備はしとくべきよ。」
「ええ、それは同感。」
どうやらただの日和主義者ではないようだ。
フィーナも己の武器である剣を構える。
そして、敵は現れた。



現れた影は二つ
どちらも大きなリボンに時代を思わせるような衣装。
顔立ちも似ており一見しただけでもすぐに姉妹と分かった。
「フィーナ・・・」
フィーナのほうをちらりと見やるがどうやら向こうも瞬時に悟ったようだ。
「ええ・・・」
この2人に話し合う余地はない。
「さて」
赤いリボンをつけた姉の様な少女が言う。
「あなたたち、早速ですが金の針持っていますよね。
それを頂きたいのですが?」
「あら、何で分かるの?」
すると青いリボンをつけた、妹と思われるほうが
「私達こんなの持っているんだ。アイテムサーチって言って欲しいアイテムを持っている参加者の位置を知らせてくれるの。今回は金の針を持っている人を探したらあなたたちがいたの。2人いたのは予想外だったけど2本持っているみたいだからちょうどいいなって。」
そうあどけなく言った。
「それで、どうでしょうか?いただけるのでしょうか?」
姉のほうが言い放つ。
「そんなことすると思う?」
「いいえ、思いません。なので・・・」
姉妹はそれぞれ武器を構える。
「実力行使です!いくわよリムルル!」
「うん、ナコルルお姉ちゃん!」
戦闘が始まった。



「くっ!」
どうやら相手は予想以上に戦闘慣れしているようだ。
特に体術には目を見張るものがある。
「はっ!」
ナコルルが使うのは刀だ。
すばやい動きで翻弄しながらこちらへ的確に斬りつけてくる。
それを同じく剣を使うフィーナが受けるが、
「すきありっ!」
隙を突いてリムルルが放つ爆弾が襲ってくる。
爆弾といっても中身は液体窒素のようで、爆風の変わりにすさまじい冷気が襲ってくる。
そしてその爆弾はゆっくりとこちらへ近づくが
「そこ!」
それを私が爆発前に銃弾を当てはじき返す。
先ほどからこの繰り返しだがじりじりとこちらが押されていくのが分かってくる。
2人の猛攻をフィーナとの連携で何とかかわし続けているがそろそろきつい。
「結構きついわね・・・」
これは冗談じゃなくやばい。
本当に相手に隙がないのだ。
「ティア、一旦逃げましょう。」
「でも、あいつらは私達の位置を把握できるのよ?」
「大丈夫、私に考えがあります。」
その顔は真剣だった。
ならば私がとるべき行動は一つ。
ガガガッと姉妹のいる場所の地面に向って発砲。
砂煙によってほんの一瞬の隙を作り
「逃げるわよ、フィーナ。」
「ええ。」
2人で森の奥深くへと逃げ出した。



「無駄なことを」
ナコルル達は2人を追った。
どんなに木々が茂って視界をさえぎろうともアイテムサーチによって相手の位置は把握できているのだ。
「どこまで逃げても逃しはしません。」
身体能力ではこちらが上であることは先ほどの闘いで確信が持てている。
後は追い詰めて止めをさすだけだ。
そしてついに、
「止まりましたね。」
2人の位置ががけの下あたりで止まったのだ。
逃げ道を失ったのだろう。
そしてその場所には木々が茂っており肉眼では良く見えない。
「リムルル、爆弾であぶり出しなさい。」
「うん、お姉ちゃん!」
リムルルが爆弾を放り、瞬時に茂みは液体窒素により凍りついた。
そしてすんでの所でその茂みから飛び出す影は2つ
「もらった!」
「これで終わり!」
2人はそれぞれに攻撃を加える。だが、
「っ!」
ナコルルの攻撃に応じたのはフィーナだった。そして、リムルルの攻撃に応じたのは・・・
「えっ!」
ただの巨大な木片だった。
その時ティアナは、
「そっちが終わりね!」
リムルルの真後ろから、銃弾を叩き込んだ。
「きゃあああ」
着弾したところから徐々に灰色に染まっていくリムルルの体
「そんな・・なんで・・・」
何でこうなったのか理解できないといったふうに
「おねえ・・ちゃ・・ん」
やがて石化の侵食は全身へとおよび・・・
姉へと手を伸ばしながら、リムルルは完全な石像になった。



「リムルル!」
石像と化し、その場にガランと物のように倒れたリムルルの姿に、姉の呼吸が乱れた。
(今なら)
チラッとフィーナに目で合図を送る。
フィーナはそれに答え
「はっ!」
剣に力をこめて振り下ろした。
「きゃあ!」
フィーナの剣にナコルルはよろめき、
「そこっ!」
そこを私の銃弾が射抜いた。
しかし、ナコルルは刀を捨て驚異的な身のこなしでそこから脱出した。
「くうっ・・・どうしてですか!?」
もはやジリ貧になったナコルルが問いかける。
「簡単なことよ、あなたたちが補足していたのは2本の金の針を持っているフィーナだけだったんでしょう?
だから私はまんまとあなたたちをやり過ごして後ろについていたわけ。
どうやらさっき優勢だったから油断したみたいね。
さて・・どうする?」
「くう・・ここは一旦引きます」
即座にナコルルは後ろへと駆け出した。
「あ、こらちょっと待ちなさい!」
別に倒す必要はないがアイテムサーチだけでも取り上げなければ後々厄介だ。
だか、駆け出そうとする私をフィーナが止めた。
「追う必要はありませんよ・・・あっちには・・・」
「?」
フィーナの手元にあるGPS画面を見ると、そこには緑色の光が表示されていた。
そして木霊す悲鳴。
ゆっくりと声のしたほうに進むとそこには、地面に設置されていた無数のガスの噴射口と
石像と化したナコルルの姿があった。
突然噴出したガスに対処できなかったのであろう。
その姿はガスを吸い込み、むせて咳き込みかけているような形で停止していた。
見開かれた右目、対照的に硬く閉じられた左目。
大きく開かれた口は、石像と化したナコルルの最後の悲惨さを物語っていた。
私達はそんな石像を見やり、トラップがまだ生きていること、アイテムサーチの回収が不可能なことを悟るとその場をあとにした。

「ああもう疲れたわ・・・」
どさっと体を草の上に放り投げながら私は言った。
「私もさすがに疲れたわ・・」
そんなことを言いながらも毅然とした態度をフィーナは崩すことはない。
ここら辺はさすがにお姫様なのだろう。
「これからこんなやつらに襲われるのかしら・・・」
「今回は運が悪かっただけよ、早々アイテムサーチみたいなものを持っているのはいないとは思うわ。」
「そうだといいんだけどね・・・」
よっと、身を起こしてフィーナのほうを向いた。
「ねえフィーナ・・・」
「ん、何?」
フィーナは髪についた汚れを取りながら話を聞く。
「えっと・・・ありがとね。」
「えっ?」
少し驚いた顔をするフィーナ。
「あなたがいなかったら渡し結構ピンチだったかも・・・」
かも、ではなく実際かなり危険だった。
「まあ・・これからもよろしくってことで・・・」
私は改めて右手を差し出した。
するとフィーナは少し笑いながら。
「何を今更。」
そういって私の手を暖かく握ったのだった。



そんな二人を木の上から覗く影が一つ。
「あの二人を倒しちゃうなんて・・・」
少女はその顔に微笑を浮かべる。
「よし、決めた。」
束ねられた長い鮮やかな緑色の髪をたなびかせて、少女は木からとび降りた。
「あの二人にしよう!」
少女は一直線にティアナたちへと向って進む。



今回の犠牲者
ナコルル:石化
リムルル:石化

残り92人
Next Page »

ついたー

冷やしtwitterはじめました。

プロフィール

七月

Author:七月
七月(ななつき)といいます。
固体少女様にて稚拙な文章を投稿させたりなんかしていただいてます。
時間がありましたら暇つぶしにでも見てやっていただけるとありがたいです。

好きな漫画(ラノベ)、アニメ:魔法少女リリカルなのはシリーズ、ながされて藍蘭島、とある魔術の禁書目録、C3、ソウルイーター

好きなゲーム:東方project、夜明け前より瑠璃色な、BALDRSKY、SO3、SO4、サモンナイト3

最近好きなアニソン(ゲーソン):沈黙の空、jihad(BALDRSKY)、only my railgun(とある科学の超電磁砲)、Refrain(プリンセスうぃっちぃず)
連絡などございましたら以下のメールフォームへ
http://form1.fc2.com/form/?id=490964

ただ、僕は結構メールを放置する癖があるので、もし連絡が遅くなったらごめんなさい。

入室情報

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。