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洞窟には幽霊さんが出るんだって

「おーい、お化けさーん。」
洞窟に何ともゆるい声が響いていた。
「灯里、大声出さないで!」
「藍華先輩も大きいです。」
そしてそれに続いて窘めの声、さらにそれを突っ込む冷静な声が聞こえてきた。
声の主は洞窟内を歩く3人の少女――灯里、藍華、アリスの3人だった。
3人がなぜこんなところにいるのかというと、この洞窟のとある噂を灯里が聞きつけたのが発端だった。
どうやらこの洞窟には女の子の幽霊が出るらしい。
その噂を耳にした好奇心旺盛な灯里に巻き込まれるような形で、藍華とアリスも幽霊探しに付き合わされているのだ。
「おばけさーん」
一人乗り気な灯里を先頭に3人は氷の洞窟を進んでいく。
そして、十分ほど歩いたところだろうか。灯里が何かを発見した。
「あ、あれはまさか!」
灯里が見つけたのは白い人影だ。
洞窟の先の暗闇にそれはぼんやりと浮かんでいた。だが、灯里が見つけた白い影は暗闇にすっと消えて行ってしまう。
「お化けさーん、まってー!」
そんな影を追いかけて、灯里が走り出した。
「ちょ、ちょっと灯里!?」
おいていかないでよー! という藍華の声も耳に入っていないのか、灯里は一人でどんどんと洞窟の奥へと進んで行ってしまった。
そして、置いてきぼりにされる藍華とアリスの2人。
「…………」
「…………」
「……どうしよう……」
「……どうしましょうか……」
途方に暮れる二人がそこには残された。


その後、灯里を探して藍華とアリスはひたすらに歩いていた。
「どこまで行ったのかしら……」
しばらく氷の道を進んだが、灯里の姿は未だ見つからない。
だが氷の道を進んでいると奇妙なものをいくつか見かけるようになった。
「藍華先輩、これ……」
アリスが道の傍らを指差した。
そこに転がっているのは氷像――魔女のような姿をした女の子の像だ。
近寄って見てみると、不気味なくらいリアルに作られている氷像だった。服の装飾から髪の毛の一本に至るまで精巧に作りこまれた氷像、
その氷像の何かに襲われたような表情も、この洞窟の不気味さに一役買っていた。
「なんでこんなとろに……」
氷の洞窟だし氷像が飾られているのならわかる。だが、このまるで捨てられたかのようなぞんざいな扱いはなんなのだろうか。
藍華とアリスはしばらくこの氷像を眺めていたが、やがてアリスが切り出した。
「先輩、こんなところで時間を使うのもなんですし、先に進みましょう」
「え……ええ、そうね。」
早く灯里を見つけてこんなところ帰りたい。
藍華は自然と早まる歩調で灯里を探して進んでいった。



そして再びしばらく進むと、今度は開けた場所に出た。
その場所には先ほど転がっていた様な氷像が、今度はきれいに並べられていた。
女子学生、お姫様、司祭、そして日本刀を構えた少女の氷像。
それらの氷像が台座に飾られていた。
どれも先ほどの氷像と同じように、まるで本物の少女のようにリアルな氷像だった。
だが、今度はまるで美術品を扱うかのように丁寧に扱われているようだった。
とはいえ、さっきあんなものを見た後ではこんな光景ですら不気味に思えてしまう。
「うう、もう灯里を置いて帰ろうかしら……」
「す……少し同感です……」
この少女の氷像が立ち並ぶ光景に恐怖感を覚え、藍華とアリスは引き返そうかと踵を返した時だった。
藍華とアリスが振り返った先、そこには白い着物を着た少女が宙に浮いていた。
それを見た藍華とアリスの血の気が引いた。そして、そんな二人に向かって謎の少女はにこっと笑うと……



ピキイッ


「うーん、お化けさんはどこに行ったのかなあ……」
灯里が先ほどの影を探して歩いていると、先ほど藍華たちがたどりついたのと同じ、少し開けた場所に出た。
どうやら灯里のほうが遠回りしてきてしまったらしい。
「ここは……」
そして、灯里の目の前には藍華たちが見たものと同じような光景が広がっていた。部屋の中に佇む無数の氷像。藍華たちが見た景色と違うことがあるとすればその数が違うことか。
「あれ、この氷像?」
灯里はその氷像の中でもとある2体に注目し、駆け寄った。
「うわー、藍華ちゃんとアリスちゃんそっくり」
それは灯里の友人二人にそっくりな氷像だった。
へたり込み、両手を合わせて二人で何かに怯えるように寄り添っている氷像だ。
もちろんこれは藍華とアリスそっくりの氷像ではない。凍り付き、氷像と化した藍華とアリスそのものだ。
そんなことに微塵も気づかず、灯里は2体の氷像にぺたぺた触れながら
「うわー、すごいね。 ねえねえ、藍華ちゃん、アリスちゃんこれ見て……」
とここで
「って、あれ?」
ようやく灯里は自分の後ろに藍華とアリスがいないことに気が付いた。
「あれ? どこに行ったんだろう」
実は目の前に凍り付いた2人がいるのだが灯里は気づかない。
きょろきょろとあたりを不思議そうに見まわす灯里。その後ろにはその二人を固めた張本人が近づいていた。そして
「ねえ、お姉さん。お探しの人を教えてあげようか?」
「え?」
灯里は振り返った。
そこにいたのは白い着物に身を包んだ小さな少女だ。
「お探しの二人ならそこにいるよ?」
「え、どこどこ」
灯里はその少女が指差した方向を見る。しかしそこには藍華とアリスの姿はなく、あるのは先ほどの2人にそっくりな氷像だけ。
「え、もしかして……」
灯里が不思議そうに顔を傾けた瞬間
「お姉さんも一緒に凍ってね」
「え?」
少女の声が響き、そして……


ピキイッ
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Author:七月
七月(ななつき)といいます。
固体少女様にて稚拙な文章を投稿させたりなんかしていただいてます。
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好きな漫画(ラノベ)、アニメ:魔法少女リリカルなのはシリーズ、ながされて藍蘭島、とある魔術の禁書目録、C3、ソウルイーター

好きなゲーム:東方project、夜明け前より瑠璃色な、BALDRSKY、SO3、SO4、サモンナイト3

最近好きなアニソン(ゲーソン):沈黙の空、jihad(BALDRSKY)、only my railgun(とある科学の超電磁砲)、Refrain(プリンセスうぃっちぃず)
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ただ、僕は結構メールを放置する癖があるので、もし連絡が遅くなったらごめんなさい。

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